高速道路で燃費向上

次は燃費向上ドライビング高速編です
市街地とは一味違った運転を身に付けましょう



 ■ 高速燃費向上のための三大原則 ■
その1 速度は控えめに
その2 走行車線をキープ
その3 速度一定よりアクセルを一定に

高速道路
 高速道路は、その名の通り高速で走行します。また、市街地のように信号や交差点も無いので、燃費を良くする方法や考え方も全く違ってきます。
それは一体何が違うのか、またどのように運転すれば良いのか、一つずつまとめていきたいと思います。


空気抵抗と燃費
 高速道路での燃費を語る上で、避けて通れないのが空気抵抗です。
空気抵抗は速度の二乗に比例するため、高速走行時は想像以上に抵抗が大きく、100km/hで走った時はエンジン出力の半分以上を空気抵抗で失ってしまいます。

以下は、一般的な乗用車の高速巡航燃費のめやすです。

巡航速度 燃費のめやす
 80 km/h 16〜20km/L
100km/h 13〜17km/L
120km/h 10〜14km/L
140km/h 7〜10km/L

これを見ると、速度が高くなればなるほど燃費が悪くなっています。
よく「高速道路での経済速度は80km/h」と言われているように、速度をなるべく抑えるほうが燃費は良くなります。

 また、空気抵抗は車の前面投影面積(車を前から見た時の面積)と、空気抵抗係数Cd値に比例します。※1
車高が低く、車幅が狭い車ほど前面投影面積が小さくなり、流れるような流線型であるほどCd値が小さくなるので、高速燃費には有利になります。
自分で車の形を変えることはできませんが、ルーフキャリアやルーフボックス等の購入を考えている方は、燃費が悪化するかもしれない事を頭の片隅に入れておいてください。

※1 空気抵抗=Cd値×空気の密度×前面投影面積×速度の2乗


平地はなるべく一定速度で
 高速道路での基本は、アクセルをなるべく動かさないことです。
必要以上にアクセルを踏んで前走車に追いつき、あわててアクセルを離したり、失速に気付いてアクセルをドカンと踏み込んだり。これでは燃費が悪化してしまいます。

平地では一定速度をキープ。これは高速に限らず燃費向上の基本です。
ギアは一番高いギアで、アクセル開度は失速しないギリギリのところでキープしてください。

■この項目については定速巡航と波型巡航で詳しく解説していますので、併せてお読みください。


アップダウン
 次に、数百メートルごとに登ったり下ったり、というアップダウンがある場合を考えてみましょう。
さっきは一定速度をキープと書きましたが、実はアップダウンがある場合は、一定速度で走ると逆に燃費が悪化してしまいます。
なぜなら、坂道で速度を一定にするには上り坂でアクセルを踏み込み、下り坂でアクセルを離してエンジンブレーキ、という走り方になると思います。
これは、たとえメーター読みで一定速度であっても、アクセルを踏んだり離したりという運転は、エンジンにとってみれば平地で加速、減速をするのと同じ事になるのです。

燃費を良くするためにはエンジン回転数を低く一定に保ち、エンジン出力も一定にしなければなりません。そのためには速度を一定にするのではなく、アクセル開度を一定に保つ必要があります。

■それでは実際どうすれば良いのか
 アップダウンがある時は、登りで徐々に速度を落としながら登り、下りで徐々に速度を上げるようにします。アクセルはなるべく動かさずに、速度変化は路面の勾配に委ねるという感じです。
こうすることで、アクセルの踏み込みと過度のエンジンブレーキを抑える事ができるので、結果的に燃費が良くなります。
ただし、速度変化は周囲の迷惑にならない程度にしておきましょう。

なお、坂道が長くどうしても速度が維持できない場合は、アクセルをじわっと動かして速度を調節してください。


合流
 本線に合流する時は、アクセルを踏んで加速します。
この場合、燃費を最優先するならば、加速はゆっくり行うほうが燃費が良くなります。

しかし、私は合流の時だけはフル加速しても良いのでは?と思います。
なぜなら、数ある道路状況の中で、高速の合流だけはアクセルを踏み込んでも燃費への悪影響が少ないからです。

一定速度まで加速するのに必要なガソリンの量は、どんな加速をしてもほぼ同じです。
そのかわり短い距離で加速を終わらせると、その後走る距離が伸びる事になります。
市街地ではこれが大きく燃費に影響しますが、高速道路は一度加速したらそのまま走り続けることになります。
つまり、これから何十キロも走り続けるうちの、加速距離が短縮された分。ほんの100mほどの距離を余分に走るだけ、と考えて良いと思います。そんな微々たる差なら、たまにはエンジンをぶん回してやってもいいじゃないか、という勝手な理由です。
安全のためにも、合流の加速は素早く行ったほうがいいですからね。


料金所
 「料金所まであと1km」という標識が見えたら燃費を稼ぐチャンスです。
少しアクセルを緩め、徐々に減速しながら走ります。
料金所が近づいたらエンジンブレーキを使い、できるだけフットブレーキを使わないように停止してください。


走行車線と追い越し車線
 車線はなるべく左側の走行車線を走りましょう。
追い越し車線は平均速度が高く、煽り、煽られの繰り返しになるため、どうしても速度の変動が大きく、燃費が悪化してしまいます。
そもそも追い越し車線は追い越しの為にあるものです。
目を血走らせて追い越し車線を飛ばしても、到着時間はそんなに変わりません。
よほどの急ぎでない限り、走行車線をまったり走りましょう。


追い越しは下り坂で
燃費の為には出来るだけ追い越しはしないほうが良いのですが、やむを得ず追い越す場合は下り坂を利用しましょう。

追い越しをするには追い越される車との速度差が必要です。しかし、アクセルを踏み込んで加速すると必ず燃費は悪化します。
そこで、下り坂を利用します。
普通のドライバー(追い越される車)は下り坂でアクセルを緩めますから、こちらはアクセルを少し踏み足すだけで十分な速度差が得られる訳です。
こうすることで、平地よりも少ない踏み込み量で追い越すことができます。

逆に、登り坂での追い越しは最悪になります。
アクセルを深く踏み込む必要があるので、エンジン回転が上がり、燃料増量も起きます。ターボ車なら加給圧が上がり、冷却のために余分に燃料を消費してしまいます。


スリップストリーム
モータースポーツではよく耳にする「スリップストリーム」
これは、高速走行時に前走車の後ろにピッタリ付いて走ることで、空気抵抗を減らして追い越しのきっかけを作るものです。

これが意外にも燃費に応用できるのです。
大型トラックのように背が高い車の後ろについて走ると、空気抵抗を軽減することができます。その効果は体感的にもわかる程なので、速度にもよりますが10%程度はあると思います。

スリップストリームの効果は前の車が大きいほど高くなるので、軽自動車の後ろを走るよりも大型トラックの後ろを走るほうが燃費は良くなります。
さらに、車間距離が近いほど効果が高くなりますが、高速道路で車間距離を詰めて走るのは非常に危険です。車間距離は最低でも50m以上、推奨は時速を距離に置き換えた数値(100km/hなら100m)開けるようにしてください。


カタログ燃費を超えた!?
 高速道路を走ったらカタログ燃費(10・15モード燃費)を超えた!という話をよく聞きます。逆に、市街地とあまり変わらないという話もよく聞きます。
なぜ自分の車はカタログ燃費を超えられないんだろう?と悩む人もいるようですが、実はこれには空気抵抗が深く関係しているのです。

高速道路ではほとんどが一定速度での巡航になります。
そして、高速走行時はエンジン出力の半分以上が空気抵抗に打ち勝つのに使われます。
その出力を得るのに必要な燃料の量は、車重や排気量、10・15モード燃費にほとんど左右されません。
つまり、極端に大きさや形状が違わない車なら、どんな車でも最初に書いた高速巡航時の燃費に近くなるのです。

こうなると、高速道路を100km/hで巡航した場合、カタログ燃費10km/Lの車が12km/Lまで伸び、カタログ燃費20km/Lの車は15km/Lしか走らない、という事が起こってくるのです。
これが、高速道路で燃費が伸びると感じる人と、感じない人に分かれるカラクリです。

ただし、空気抵抗以外は各車種の持つ元々の燃費性能(いわゆるカタログ燃費)に左右されるので、数値的にはカタログ燃費の良い車のほうが良い燃費になる傾向があります。