CAMPで燃費解析

タイヤ空気圧と燃費

 よく「タイヤの空気圧が低下すると燃費が悪くなる。燃費を良くするには空気圧を規定値より少し高めにすると良い。」と言われています。
これは、空気圧が低いとタイヤの変形が大きくなり、ころがり抵抗が増えるからなのですが、果たして実際どれぐらいの影響があるのか試してみる事にしました。


比較内容
 タイヤの空気圧を2.8kg/cu、2.0kg/cu、1.2kg/cuと変えた時、どんな変化があるのかを比較する。
テスト方法は以下のとおり。
1.固定式スロットルを使い、50km/hまで加速するのに必要な燃料消費量を比較する。
2.一定速度から一定速度までエンジンブレーキ及びNレンジで惰性走行した時の走行距離を比較する。
なお、各テストは信号のない平地で毎回同じポイントから行いました。


空気圧とタイヤのようす
 モビリオの標準空気圧は220kPaです。
1kPa=0.0102kg/cuなので、220kPa=2.24kg/cuとなるわけですが、タイヤ交換による補正と、空気圧を少し高めにという事で、私はいつも2.5kg/cuにしています。

2.8kg/cu 2.0kg/cu 1.2kg/cu

これがテスト時の各空気圧とタイヤのようすです。
2.8kg/cuだとかなり高め。
2.0kg/cuで標準より少し抜けた状態。あまり点検しない人だとこれぐらいが多いのではないでしょうか。
1.2kg/cuになると、見ただけで大きく変形しているのが分かります。かなり危険な状態なので、こうなるまで放っておかないようにしましょう。


比較1 0-50km/h加速テスト
 図1は固定式スロットルを使って0-50km/hまでの加速を行ったものです。
各空気圧ごとに、誤差の少ないものを3回ずつ抜き出してあります。
 これだけではよく分からないので、これを分布図にしたのが図2です。
これを見ると、空気圧ごとに仲良く3グループに分かれているのがわかります。

 さらに、各空気圧での加速データを比較してみたのが図3です。
これを見ると、2.8kg/cuと2.0kg/cuでは若干2.8kg/cuのほうが燃料消費が少ないものの大差なし。1.2kg/cuだけが3〜4ccほど余分に燃料消費していることが分かります。
また、加速に要する時間も3秒ほど余分にかかっています。
これは、ころがり抵抗が増えた事によってなかなか速度が上がらず、燃費が悪化したことを意味しています。約15%の悪化です。




比較2 惰性走行の距離
 タイヤのころがり抵抗が増えているならば、加速以外でも違いがあるはず。というわけで、一定速度から一定速度までの惰性走行を行い、その距離を比較してみました。
図4は加速後にNレンジに入れ、50km/h→30km/hまで惰性走行したものです。
これを見ると、2.8kg/cuと2.0kg/cuはほとんど同じで、1.2kg/cuだけが50mも短い距離で30km/hまで減速しています。



 そして図5はDレンジでエンジンブレーキを使い、50km/h→20km/hまで惰性走行したものです。
これを見ると、やはり2.8kg/cuと2.0kg/cuはほとんど同じで、1.2kg/cuだけが30mほど短い距離で20km/hまで減速しています。




体感的には
 テスト中に感じた事ですが、2.8kg/cuと2.0kg/cuの違いはほとんど感じられませんでしたが、1.2kg/cuにすると明らかに加速が遅く、アクセルを離すとすぐに減速するのが分かりました。
ちょうどサイドブレーキを引きずったまま走った時のような感覚です。
また、ハンドルが異様に重くて怖かったです。よい子はマネしないように。


まとめ
というわけで、これらの結果をまとめると、
 規定空気圧以上に高くすると、若干燃費が向上するものの大きな差は見られない。
しかし規定空気圧から1kg/cuほど下げると、明らかに15%程度燃費が悪化する。
燃費を良くするために空気圧を少し高くする程度では、燃費の悪化は防げても燃費が向上する程の影響はなさそう。

と言えそうです。

といっても、気分的にはやっぱり少し高めが好きですけどね。