TOYOTA AURIS |
オーリスは発売当初から雑誌の記事などで知っていたものの、実は購入候補ではありませんでした。形状やスペックは私の欲しい条件に近かったのですが、昔から「クルマ好きはトヨタ車を選ばない」という変な思い込みがあったからです。 ところが、他の車種を買うつもりでディーラーを見て回っている時、競合車としてオーリスの見積もりをもらって試乗してみたところ、非常に気に入って買ってしまったというクルマです。 納車されて1ヶ月程ですが、早速インプレしてみたいと思います。 |
ファーストインプレッション |
ドライビングインプレッション |
納車されてしばらく走ってみた感想です。
見るだけでなく、実際に運転してみない事には本当の良さは分からない。オーリスはそういうクルマでした。
エンジンのフィーリング
新開発の1.8Lエンジンは、ハッキリ言ってかなり良いです。
低回転から十分なトルクがあり、静かでスムーズに回ります。高回転まで回すとエンジン音は多少大きくなるものの、あくまで心地よい音でグイグイ加速していきます。
エンジン音はかなりお気に入り。少し低音の効いたアイドリング音も良いのですが、少し踏み込んで2000〜3000rpmで加速する時のグォォォン・・という音が心地よい。スポーツマフラーを付けたクルマとはまた違った、品の良い重低音という感じです。
CVTのフィーリング
CVTの制御はかなり燃費重視。必要な時だけ回転数を上げ、それ以外は極力低回転を保とうとする設定のようです。
発進時は回転数のわりに加速がややもたつく感じで2000rpm程まで回ります。ある程度スピードが乗るとストンと回転数が落ち、1200〜1300rpmでじわじわと加速を続けます。アクセルを緩めるとさらに回転数が下がり、1000rpmぐらいで巡航状態になります。
特筆すべきはエンジン回転数の低さ。一般道で巡航する時はほとんど1000〜1200rpm。高速100km/h巡航でも1850rpmほど。「こんな回転数で走れるのか・・」と唖然としてしまいました。
アクセルレスポンスも優秀で、踏んだ分だけ忠実にパワーが出るような回転数に制御されます。巡航状態から少し踏み足しただけではあまり回転数は上がらずにじわっと加速、ぐっと踏み足すと瞬時に回転数を上げてグイッと加速を始めます。無駄に回転数が上がっている印象は無く、常にポンピングロスの少ない領域を積極的に使っている印象を受けました。
また、アクセルオフ燃料カット状態(1100rpm)からほんの少しアクセルを踏むと、回転数が上がるかと思いきや下がって1000rpmで巡航しようとします。さらに燃料カット状態からフットブレーキを踏むと、今度は回転数が上がり積極的に充電しようとします(充電制御)
こういったきめ細かな制御はCVTが最も得意とする部分であり、燃費には理想的だと思います。
足回りとハンドリング
足回りとハンドリングはこのクルマで私が一番気に入っている所でもあります。
ダンパーは硬めのセッティングで、低速ではコツコツと細かいギャップを拾うものの、速度を上げる程に路面にピタっと吸い付くフィーリングには思わずニンマリしてしまいます。工事中のデコボコした路面を通過しても、ストレスを感じる事なく車体の揺れを一回で吸収してくれる感じです。
高速走行はまさに水を得た魚のように、ビシッと安定しています。ワイドトレッドの効果か横揺れは皆無に近く、ハンドルから手を離してもほとんど車線がずれない。開発時にアウトバーンやニュルブルクリンクで試走を繰り返したというだけあって、直進安定性やスタビリティの高さはかなりのものです。
ハンドリングは軽快かつ上質。適度な遊びがあるものの、ステアリング操作に忠実に横Gが変化する感覚は、運転してとても気持ちが良い。スポーティーと言うより素直でとても分かりやすいハンドリングです。
パワステのフィーリングも上々。前車モビリオの電動パワステは、コーナーの立ち上がりでタイヤからの反力では舵角が完全に戻り切らず、手で直進状態に戻してやる必要がありましたが、オーリスのパワステは電動とは思えないほど滑らかで、スッと直進状態に戻ります。
燃費
今回の買い替えは「しっかり走ってくれる良いクルマ」が欲しかったので、実は燃費はあまり重要視していませんでした。ところが納車後初めてのドライブで純正燃費計読み17.8km/Lを記録。往復100km程の距離で、高速6割、郊外4割の比較的燃費の良くなる走行条件でしたが、これだけ走ってくれれば十分満足です。
純正燃費計と実燃費の誤差はまだ分かっていないので、このへんは長期で見ていきたいと思います。
総評
欧州のCセグメント市場に殴り込みをかけるべくトヨタが本気で作ったクルマ。ボディや足回りに金をかけすぎて内装がチープになるなど、今までのトヨタからは考えられないクルマ作りをしたということに魅力を感じます。
同価格帯の他のクルマと比べると、使い勝手や室内の広さは同等かそれ以下になりますが、その分「走る、曲がる、止まる」というクルマの最も基本的で重要な部分がしっかりと作られていて、それは素人の私が乗っても感じる事ができるということ。
ヴィッツの顔で3ナンバーボディ、ウィッシュが買えてしまう高めの価格設定からすると、日本でバカ売れすることはまず無さそうなクルマです。欧州戦略のために開発されたクルマというだけあって、見た目や装備に誤魔化されず、実際に運転してみてその乗り味や雰囲気を気に入った人だけが買う。そういうクルマだと思います。